お役立ち情報

上手な聞き手に回るための適切な「質問の仕方」

  • 業種 介護福祉施設
  • 種別 レポート

相手のニーズを引き出す開かれた質問

  • 介護施設における稼働率向上実務のポイントシリーズ第 42 回。
  • 「聞く」ことにより相手の気づきを引き出すことの効果を理解したところで、その具体的な実践方法を考えていく。

オープン・クエスチョンとクローズド・クエスチョン

前回までのおさらいをする。
営業トークでは、最終的に自施設の紹介をしたい場合であっても、会話の進め方としては聞きに回り、相手のニーズを引き出すことに注力すべきと伝えてきた。相手のニーズとは、自身の現状と理想の間にあるギャップを認識し、それを埋めるための手段であると言い換えることができる。営業トークでは、営業担当者は聞きに回り、端的な質問から現状と理想について確認をすることで、話をした本人も改めてそのギャップから自分自身のニーズに気づくことができるようになってもらうことにポイントがあるのである。

では、会話の進め方の大筋については理解できたとして、そこにたどり着くために必要なトークの仕方、つまりここでは上手な聞き手に回るための適切な「質問の仕方」について考えていく。
そもそもここで必要なことは、質問された相手が「はい」「そうなんです」「あなたの言う通り」というように質問者の意図する方向に誘導される形で答えるのではなく、自分の意志で「●●という状況です」「●●と思うんです」というように答えを出していくことにあると、前回お伝えをしている。ここに導くための質問方法とは、いわば「オープン・クエスチョン」と呼ばれる、相手が文章に表して表現することが必要なやり方である。対して「クローズド・クエスチョン」と呼ばれる、いわば「yes」「no」、「A or B or C」のような選択式で答えられるような質問方法では、質問者の意図する通りに答えを導くことは容易かも知れないが、回答者の深淵にある、自分自身も気づいていないようなニーズに気づくことには向いていないと言える。

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オープン・クエスチョンの本質とは

では、オープン・クエスチョン(開かれた質問)とはどのように行えばよいのだろうか。
もちろん、それを突き詰めれば技術的に様々な手法があるが、その根本はいたって単純明快である。それは、質問者、営業担当者の側が、相手(ここでは主にケアマネジャー)の困りごとや悩みを知って、解決できるものなら自分たちのサービスで解決したいという、「相手に対する興味・関心」が根本にあり、それを引き出すためには何を聞けばよいのか、を考えることである。その、営業担当者として当然辿り着くべき考え方に気づくことができれば、自分の望み通りの答えを相手から引き出すことには何の意味もないことにも気づき、自然と相手のことを知るための質問とは何かを思いつくことができるようになるはずである。

それでも、さらにポイントがあるとすれば、質問をする際、自分のことは極力話さない、ということにあるだろう。自身の思っている質問意図や、知ってほしい考え方などは多々あるとは思われるが、それを伝えれば伝えるほど、相手の自由な回答から遠ざかってしまいがちになる。質問をするのであれば、そのような気持ちは抑えながら、「もっと具体的に教えてください」「それはつまりどういうことですか」などと興味・関心に従って知りたいことを深掘りしていくことが重要となる。

もちろん、そのように自身のことを気持ちよく話してもらうためには、質問をする前にまず「この人に話してみたい」と思えるような印象づくりが重要なことは間違いないだろう。相手のことに興味・関心があることを態度で前面に出し、話したことには適切な相槌をうち、そのうえでもっと知りたいので質問をしました、という姿勢こそが、相手の話を引き出す最大のポイントとなるはずである。

営業トークは、実践の中で磨かれるものである。まずは臆せず、現場で挑戦されたい。

レポートの執筆者

沼田 潤(ぬまた じゅん)
株式会社 日本経営 介護福祉コンサルタント

株式会社の運営する介護付き有料老人ホームにおいて介護職員から施設長までを経験後、北京に駐在し海外事業にも従事。2015年に日本経営に入社、主に介護施設における稼働率向上支援、介護サービスレベルの底上げ支援などを担当する。介護福祉士。

本稿は掲載時点の情報に基づき、一般的なコメントを述べたものです。実際の経営の判断は個別具体的に検討する必要がありますので、専門家にご相談の上ご判断ください。本稿をもとに意思決定され、直接又は間接に損害を蒙られたとしても、一切の責任は負いかねます。

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